
【家紋一覧表】No.41「丸に右三つ巴」の意味や由来、特徴、使用する苗字などをご紹介します。
1. 家紋の概要
「丸に右三つ巴」(まるにみぎみつどもえ)は、日本の家紋の一つで、円形の外枠(「丸」)の中に三つの右回りの巴紋が配置されたデザインです。「右三つ巴」の変形として親しまれ、円を加えることでさらにバランスや調和の象徴性が強調されています。この家紋は武家をはじめ、神社や庶民にも広く使用されてきた歴史があります。
2. 由来と歴史
2.1 巴紋の起源
「巴」という意匠自体は、古代日本で渦巻きや流れる水を模したデザインがルーツとされています。水は生命の源であり、清浄や浄化を象徴していたため、宗教的な意味合いも強く、古代から信仰の対象でした。
平安時代には貴族社会での装飾模様として巴紋が用いられ、やがて武士の時代になると、力強さや災厄を防ぐ護符的な意味を持つものとして武家に広まりました。
2.2 丸に右三つ巴の登場
「丸に右三つ巴」は、「右三つ巴」のデザインに円を加えることで、さらに調和や結束を象徴するものとして用いられました。この「丸」は、終わりのない形状であり、永続性や繁栄を表すものとされています。江戸時代には、武家だけでなく、庶民の間でもこの家紋が使用されるようになり、装飾や祭りのシンボルとしても親しまれました。
3. 意味と象徴
3.1 巴紋の象徴
巴紋全般には、以下のような意味が込められています:
1. 力と勇気: 渦巻きが持つダイナミックな動きから、武士の力強さや勇気の象徴として用いられました。
2. 守護の役割: 巴紋は、災厄を払う力があるとされ、鎧や盾、兜などに描かれることも多くありました。
3. 調和と団結: 三つの巴が一つに結びついているデザインは、家族や仲間の結束、調和を表しています。
3.2 「丸」の意味
「丸」が追加されることで以下のような意味が強調されます:
1. 永続性: 丸い形は、終わりのない循環を示し、繁栄や安定を意味します。
2. 守護の範囲拡大: 丸が外枠となることで、守護や調和の意味がより広がり、家族や組織全体を守るシンボルとなります。
3. 調和の美学: デザインとしての均整が取れ、視覚的にも安定感を与えるため、家紋の中でも特に美しいとされています。
4. 特徴とデザイン
4.1 デザインの構造
「丸に右三つ巴」は、以下の要素で構成されています:
丸(円): 外枠としてデザイン全体を囲みます。
右三つ巴: 丸の内部に三つの巴が右回りで配置されています。この「右回り」がデザイン上のポイントであり、エネルギーの循環や動きを象徴しています。
4.2 視覚的特徴
シンメトリーの美しさ: 丸の中に巴を収めることで、全体的に均整が取れたデザインとなっています。
流動的な形状: 巴の渦巻きが動きを感じさせ、静と動が調和した印象を与えます。
シンプルながら力強い: 曲線だけで構成された簡潔なデザインですが、視覚的に強いインパクトがあります。
4.3 バリエーション
「左三つ巴」や「丸なし三つ巴」など、巴紋には様々な派生デザインがありますが、「丸に右三つ巴」は特に調和や完成形を象徴するとされています。
5. 使用例と関連家系
5.1 武家での使用
「丸に右三つ巴」は、特に武士階級で人気が高い家紋でした。
代表的な例: 鎌倉時代から戦国時代にかけて、武田家や伊達家などの名門武家で使用されました。武士にとって巴紋は、戦場での力強さと守護を象徴する重要な意匠でした。
5.2 神社や仏教寺院での使用
神道や仏教においても巴紋は神聖な模様とされ、多くの神社や寺院で使用されました。特に「丸に右三つ巴」は、神社の神紋としての使用例が多く、信仰と深く結びついています。
5.3 民間での使用
江戸時代以降、庶民の間でも「丸に右三つ巴」は親しまれるようになり、屋号や商家の紋章として使われることもありました。また、祭りや伝統行事の装飾にも採用され、地域の象徴となることもあります。
6. 現代における意義
6.1 家紋としての継承
現代においても「丸に右三つ巴」は家紋として引き継がれています。冠婚葬祭や法要などの場で、家紋を意識する機会は少なくありません。
6.2 伝統文化への利用
祭りやイベント: 「丸に右三つ巴」は、日本各地の祭りや神社のイベントで見られます。
伝統工芸品: 家紋をモチーフにした工芸品や装飾品にも多く使用されています。
6.3 グローバルなデザインとしての評価
最近では、日本の家紋が海外でも注目され、「丸に右三つ巴」のシンプルで力強いデザインがアートやブランドのモチーフとして採用される例も増えています。
7.使用する苗字
熊川、小倉、上田、平野、福島
8. まとめ
「丸に右三つ巴」は、日本の家紋の中でも特に美しく、象徴的なデザインです。円形の枠によって調和や永続性が強調され、武士や神社、庶民に至るまで広く使用されてきた歴史を持っています。この家紋は、日本文化の深みを伝える象徴であり、現代でもその魅力を失うことなく受け継がれています。